コガソフトウェア株式会社(本社:東京都台東区、代表取締役 古賀 詳ニ)は、2017年10月19日付で、国土交通省「高精度測位技術を活用した公共交通システムの高度化に関する技術開発」事業を受託しました。
システム開発のコガソフトウェアは、各種クラウドサービスや IoT サービスの開発や提供、利用を推進するとともに、社会課題や少子高齢化対策のソリューションとして、次世代型デマンド交通システム
「孝行デマンドバス」 を提供しています。
本事業では、「孝行デマンドバス」サービス基盤と連携しながら、日本版GPSとも呼ばれる準天頂衛星「みちびき」を活用する高精度オンデマンドバスロケーションシステムを開発し、複数の公共交通機関の乗り継ぎ利便性向上にかかる実証実験を実施します。
※ 国土交通省様プレスリリースはこちら:
日本版GPS「みちびき」を活用した高精度バスロケーションシステムの実証実験を開始します
(画像出典:
みちびきウェブサイト)
「みちびき」とは
みちびき(準天頂衛星システム)とは、準天頂軌道の衛星が主体となって構成されている日本の衛星測位システムのことで、英語ではQZSS(Quasi-Zenith Satellite System)と表記します。
衛星測位システムとは、衛星からの電波によって位置情報を計算するシステムのことで、米国のGPSがよく知られており、みちびきを日本版GPSと呼ぶこともあります。
GPSを補い、より高精度で安定した衛星測位サービスを実現
4機以上の衛星で衛星測位は可能ですが、安定した位置情報を得るためには、8機以上の衛星が見えることが必要とされています。しかし、GPS衛星は地球全体に配置しているため、地球の裏側で見えない衛星があり、どの地点でも概ね6機程度しか見ることができませんでした。
2018年、みちびきが4機体制になると、このうち3機はアジア・オセアニア地域の各地点では常時見ることができます。みちびきはGPSと一体で利用でき、GPS衛星6機とみちびき3機を合わせて8機以上となるため、安定した高精度測位を行うことが可能になります。GPS互換であるみちびきは安価に受信機を調達することができるため、地理空間情報を高度に活用した位置情報ビジネスの発展が期待できます。
なお、みちびき4機体制時においても、ビルや山の陰で見える衛星数が減ることから、都市部や山間部では測位が安定しないことがあります。このため、2023年度をめどとして7機体制とし、都市部や山間部を含めて正確な位置情報が得られることを目指していきます。
(出典:
みちびきウェブサイト)
実証実験の概要
概要
岡山県玉野市をフィールドとして、「みちびき」を活用することで、複数の公共交通モードの乗り継ぎ利便性を向上させることができるかを検証します。
玉野市では、幹線輸送のコミュニティバス「シーバス」、支線送迎のデマンドタクシー「シータク」というフィーダー系統の公共交通が市民の足として確立しており、
平成28年度には「地域公共交通優良団体国土交通大臣表彰」を受賞されています。「みちびき」の高精度位置情報を活用したオンデマンドバスロケーションシステムにより、車両の現在地がすぐにわかるようにナビゲーションすることで、「シーバス」「シータク」の乗り継ぎに関する不安を解消し、公共交通をさらに使いやすくすることを狙います。
実証実験予定期間
2017年12月15日(金) ~ 2018年2月28日(水)
事業説明会
・日時: 2017年12月15日(金) 9:30 ~ 10:30
・会場: 玉野産業振興ビル 3階 展示・会議室(岡山県玉野市築港1丁目1番地3号)
・主催: 国土交通省総合政策局技術政策課
コガソフトウェア株式会社
システムの概要
システム構成には以下5つの特徴があり、他の地域の公共交通機関とも連携できるプラットフォームとなっています。
(1) QZSS 対応
「みちびき」対応 IoT デバイスを車載器(GPS/QZSS トラッカー)として採用することで、高精度位置情報のデータ通信が可能となるよう、Android OS 用の定期位置情報取得・送信アプリを開発しました。5秒間隔で位置情報を取得、トレースできます。
(2) 孝行デマンドバス連携
デマンド交通の予約・運行データと連携し、次に向かう目的地までの車両位置をリアルタイムに確認できるようになります。
デジタルサイネージやスマートフォン・PCなどマルチプラットフォームに対応し、利用客にわかりやすく車両位置をお知らせします。
(3) GTFS(General Transit Feed Specification)対応
GTFS とは、Google 社が定義している、公共交通機関の時刻表とその地理的情報に使用される共通形式フォーマットです。
数多くのバス会社、バスロケーションシステムがこのフォーマットに対応しており、本システムも GTFS のデータ形式を採用しています。
(4) SORACOM Funnel
QZSS 対応デバイスで取得した位置情報は、SORACOM Air SIM によってクラウドにデータ通信しています。接続先クラウドリソースを指定するだけで容易にデータ転送が可能なサービスである、SORACOM Funnel を活用することで、運用コストを抑えています。
(5) Amazon Kinesis Stream + Lambda
Kinesis ストリームが格納した大量の連続的な IoT データを受け取ると、Lambda はサーバーレスで画面生成コードを実行します。AWS の機能を活用することで、定期的な大量データ処理を実現しています。
これらの特徴を活かし、安価かつ汎用的にどの地域にも適用できる、スケーラビリティのある構成を目指しています。
フィーダー系統として接続する複数の交通モードを、利用者は使いやすく、また事業者はサービスを提供しやすくなるよう、孝行デマンドバスの新機能「Locator(ロケーター)」としてシステムを展開してまいります。
また、本件に関しまして、株式会社ソラコム様より以下のエンドースメントをいただいております。
この度のコガソフトウェア様の準天頂衛星「みちびき」を活用したオンデマンドバスロケーションシステムの岡山県玉野市での実証実験開始を心より歓迎します。
IoT通信プラットフォーム「SORACOM」は、IoTに必要な通信を提供します。コガソフトウェア様の次世代型デマンド交通システム「孝行デマンドバス」では、バス位置情報のオンタイム取得に、データ通信SIMを用いる「SORACOM Air for セルラー」を活用いただいています。
本取り組みが、地域社会におけるIoTをはじめとした最新テクノロジー活用を切り拓き、一層の地域社会に根付いたIoT活用事例を創出してくれるものと期待しています。
株式会社ソラコム 代表取締役社長 玉川 憲
https://soracom.jp/
お問い合わせ
「孝行デマンドバス Locator」は、日本版GPS「みちびき」を活用した高精度モビリティロケーションシステムです。
既存の公共交通、デマンド交通の運行情報をまとめて確認でき、これまでのように時刻表やバスロケを見比べる必要がなくなります。
オンデマンド交通サービス「孝行デマンドバス」は、フルデマンド・セミデマンドの運行モードに対応する、世界で唯一のハイブリッドデマンド交通SaaSです。オートルーティングアルゴリズムによってオペレータの配車計画を支援するとともに、運行指示はドライバー向け車載器に連携されます。この車載器Androidタブレットは、SIM経由でクラウドと通信します。クラウドに蓄積された運行データは、レポーティングダッシュボードにより、多面的かつ手軽に分析できます。
※ ソラコム、SORACOM は株式会社ソラコムの商標です。